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映画『ポー川のひかり』

 久々にイタリア映画を見て来ました。エルマンノ・オルミ監督の『ポー川のひかり』です。かつてイタリアのファッション・ハウスの仕事をしていた頃には、年に2~3回はイタリアを訪れて、仕事を通してイタリア人の友だちも何人かできました。イタリア語はついに覚えそびれましたが(仕事仲間は皆英語でOKだったので)耳慣れてはいました。

 そんなわけで、映画の雰囲気には直ぐに馴染み、すっかり気分はイタリアになりました。映画の登場人物にかつてのイタリア人の友だちを思い出し、夏の夕暮れ時、屋外のテーブルを囲んでワインを飲みながら会話を楽しんだことなど不思議と甦って来ました。

 イタリアでは時間があせらず、ゆったりと流れる感じなのです。『ポー川』のように。この映画、ストーリーはともかくとして、そんなイタリア感を満喫させることが、製作者の一つの意図のように思えました。一緒に行った友だちが「このゆったりしたタイミングが心地よかった」と言っていました。

 主人公は、将来を嘱望された新進気鋭の神学と哲学の学者ですが、象牙の塔に籠って例え何万冊の本を読破し知識を詰め込んでも、論文を数々発表しても、一体人類のために何の役に立つのだろうと疑問を持ち始め、ある日突然、輝かしいキャリアと決別し放浪の身になるのです。
 
 そこから普通の人々の人情に触れ、人間味溢れるお付合いも始まります。彼の知識に敬服し,教えを請う人たちも現れます。いつしか、彼はキリストというあだ名がつきます。いわば、哲学や神学が実生活に役に立つことが実証されていくのです。聖書のエピソードも誰かの悩みに良いヒントを提供します。(信心深いか否かは別として、イタリア人なら聖書の有名な逸話は知っていると言う点は見落とせないですが)

 学問探究と学問を実社会に生かすこと、これをバランス良く実行するのは理想ですが、中々難しことですね。どちらも時間が必要、どうのように配分するのか。映画を見ながら自分の問題でもあるなあと思っていました。そんな風に思う人は多いのかもしれません。

 今夜は、私が通っている「聖書研究会」の先生(司祭)と勉強仲間と一緒に映画を鑑賞し、その後に近くの喫茶店へ。大きなテーブルを囲んで共に感想を分かち合い余韻を楽しみました。イタリアの田舎ならぬ都心の集いでしたが、「きょうだい達」が共にいて贅沢な時間が流れました。

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by yoshikos11 | 2009-08-12 01:47
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