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レイプ被害者の写真展

 大藪順子さんはトラウマの後遺症に苦しみながら、新規一転、転職、引越を図り「つらい」過去から解放されようと試みます。しかし、悪夢は遠くへ逃げてもしつこくついてくるのですね。新天地でも、夜中に夢を見てパニック状態になり、必死でインターネットで支援を探し求めます。そこから彼女と同じような被害に遭った他の人たちと出逢うようになります。そうした出会いが彼女に癒しを与えます。
 そして遠大な計画を思いつきます。北米各地を訪れてレイプ被害者たちの写真を撮ることにしました。写真撮影の前に被害者たち(中には男性もいました)のつらい物語を聞かせてもらいます。この広い世の中には、想像を絶するようなヒドい虐待を受けた人がいるのですね。大藪さんには辛過ぎて支えきれないようなケースをありました。(例えば近親相姦の犠牲者、身内同士の殺人目撃など)
 数十人の人たちの写真を撮り終えて、彼女は展覧会を開きました。それが全米で話題となりテレビの取材を受けたり、上院議会の公聴会に呼ばれたり、まさに多くの犠牲者の代弁者として大活躍します。これまで「日陰者」扱いされていた人たちのストーリーが、写真展で人々の知るところとなりました。同じ苦しみでも、苦しんでいることを他者に知ってもらうことで、少しは和らぐと言います。
 またレイプについて皆の理解が少しでも深まれば、社会全体が性的暴力や虐待撲滅へ向けて動き始めるのではないでしょうか?彼女自身、当初からこのような反響を予測していなかったはずですが、「転んでもただでは起きない」一人の女性が社会を動かした素晴らしい話だと思います。
 
 
by yoshikos11 | 2010-07-26 01:36
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