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東日本大震災、人を憂い、国を憂いて

 今日、GCCの現受講生と、認定グリーフ・カウンセラーに向けて、メールでお送りした私のメッセージを、これまでGCCの講座やカウンセリングで出逢った全ての方々へ、ブログを通してお伝えしたいと思います:(既に150名余の方々との出会いがありますが、全員にメールができませんので)
 
 本日現在、報道によると死亡が確認された方が10,000名を越し、確認できない行方不明者が17,000名、とのことですが、既に大災害以降、2週間を経た現在、あわせて27,000の尊い命が失われたと認めざるを得ない状況です。しかし、一瞬にしてこのように膨大な数の命が喪われたという現実を、どうやって受入れることができましょうか。直接被害を受けなかったとしても私たち皆が圧倒される思いで、心理的にも動揺を禁じえなくても、当然だと思います。

 今は、ただただ不慮の死を遂げた同胞に対して、深く、深く哀悼の意を表し、その魂のやすらかなることをひたすらお祈りします。そして、この災害で大切な人(人々)を喪った多くの被災者(サバイバー)のことに思いを馳せるたびに、激痛を覚え、心が塞ぎ、今はどんなお悔やみの言葉も全てちっぽけに思えて、言葉がみつかりません。しばらくは、そうした方々の心身の安全をひたすら祈る気持です。そして、機会を見て、状況が許せば、サバイバーのトラウマ、グリーフケアに一躍を担いたいと思っています。

 さて、国内外のメディアでは、日本人の「がんばろう」精神(ファイティングスピリット)や「しかたがない」(良い意味でのいさぎよさ)、こんなときだから「皆が一丸となって助け合おう」などという言葉が飛び交っています。今、日本の危機を乗り越えるためには必要な言葉なのかもしれませんが、一方でトラウマの影響で皆「アドレナリン」がハイになっているなとも感じます。しかし、27,000人の命が奪われたという大きな喪失、圧倒されながらも、苦闘しながらも、この喪失と厳粛に向合い、深く思考する機会にするという課題も忘れてはならないと思うのです。

 私は先日、米国の放送局(National Public Radio) の取材を受け、被災地を訪れていたリポーター(英国人男性)にインタビューされました。彼は、危機における日本人の忍耐強さ,気丈さ、譲り合いの精神にいたく感銘を受けたと繰り返し言っていました。そしてそうした態度が日本の文化に根ざすものかと質問されました。
 現地を視察し被災者と接した彼の言い分は多くが真実かと思いましたが、一方で、トラウマ的な経験をした人たちの一次的心理反応だけを見て全てを判断するのは時期尚早であり、これから徐々に表れるであろう二次的,三次的心理反応には「がんばろう」精神だけではとうてい対処不可能な複雑なものがあろうと答えました。そして、そこには適切なトラウマケア、グリーフケアが必要であると伝えました。

 大震災直後より、私のもとには海外の友人、そして特にIWGのメンバーの方々(皆さんにもおなじみの、Parkes,  Rando Rubin, Malkinson、Betty & Tom Attig,  Wogrin, Harris, Neimeyer 先生)から、お見舞いと励ましたのメールが殺到しました。いずれも心底、私たちのこと、被災者のこと,日本の国のことを心配し、ぜひ支援したいと申し出がありました。そして、大災害後のケアについて大いに役立ちそうな資料の数々が数添付ファイルにて送られて来ています。有り難く,涙が込上げる思いです。早速、資料を読んで、実践に役立てたいと思っています。

 いま、しきりと「私たちにどんな支援ができるのか?」と言われていますが、GCCの皆さまとご一緒にこの課題を考えて行きたいと思っています。何ができるか、現時点では、具体的には分りませんが、時期がきたらご協力を仰ぐこともあるかと思います。またご提案などあれば、ぜひお聞かせ願いたいと思います。当面は、GCCのホームページにニーメヤー先生の言葉、アドバイスなどを掲載して、特にニーズのある被災者、その支援者の方々へ情報発信していきたいと思っております。
by yoshikos11 | 2011-03-25 17:11
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