英国グリーフ・トラウマ・ケア 支援団体 CRUSE のこと

f0101220_00410695.jpg 前回、英国のCRUSE (グリーフ・トラウマ・ケア支援団体)について触れましたが、その歴史は古く1959年にロンドンで創立しました。以前、会員の方から聞いた話では、ご主人を亡くした婦人が私財を投じてサポート・グループを始めたことに端を発しているとのこと。
 現在、イングランド、ウェールズ、アイルランドを統合している全国ネットワークで、個別カウンセリング、電話およびメール相談、支援者の養成講座を実施していて、その資金は全てチャリティでまかなわれています。
 ちなみに年間£5,000,000 (約7億円)の資金が必要だそうです。恐らく政府からの助成金もあると推測しますが(チャリティ団体として認知されているので)大半は一般人の寄付やファンドレイジングに頼っているようです。サイトでファンドレイジングへの参加を呼びかけています。
 CRUSEに限らず、Helen &Douglas House (子どもホスピス・創始者シスター・フランシス・ドミニカ)などもファンドレイジングを勢力的に行なっていますが、チャリティが国民全体に理解され支持されている英国ならではの、英国だから可能な事業なんだと痛感します。

 さて私がCRUSE と初めて出あったのは2005年7月、ロンドンで開催された第7回CRUSE 国際大会への参加でした。折しもロンドンでテロ爆破事件が勃発し、地下鉄・デッカーバスが襲撃された1週間後のことでした。地下鉄車内で3箇所、デッカーバス1箇所の連鎖的な爆発、死者50名、負傷者100数名を出しました。
 世界各国から死生学・グリーフ学の関係者が渡航の準備万端整えていた時点での事件発生でした。私もそうでしたが、おおかたの関係者は「恐らくCRUSE は大会を中止するだろう」と予想していました。
 ところがさすがグリーフ・トラウマ・ケアの勇者たちですね。CRUSEはテロには屈しませんでした。組織委員会は『こんな時だからこそ私たちは一致団結してロンドンに集まろう!』と開催を宣言したのでした。
 ロンドン市内では未だ、一部、地下鉄駅は閉鎖中、路線も運休中で、通勤には自転車や徒歩でという人々も多数いました。さすがに公共の交通機関は恐ろしくて利用できず、私はタクシーを使って、かなり緊張して学会の会場に3日間通いました。そんなある日、一日の緊張を和らげたくて帰路、トラファルガー広場の当たりを散歩していたときのこと、広場に大勢の市民が集まって爆破事件の犠牲者のために追悼会を行なっていました。

 遠い日本からこのタイミングでロンドンにやってきたこと、そして偶然に追悼会へ出くわしたことなど、偶然にしては不思議な気持になりました。犠牲者とその家族のことに思いを馳せて、そこに集まっている人たちと共に、祈りを捧げました。CRUSEといえばこの出来事を思わずにはいられません。
 

 
 

by yoshikos11 | 2017-05-31 00:54 | Comments(3)
Commented by 竜宮小僧 at 2017-06-01 23:35 x
「CRUSEはテロには屈しませんでした」と記述されましたが、アリアナ・グランデさんも6月4日に犠牲者追悼の公演を開くとのニュースに驚きました。事件から2週間たらずでの開催にどれだけの葛藤があり、決断が必要だっただろうかと。悲しみや怒りをエネルギーにして、意義のある行動へ変容させるには想像を超える強い意志と覚悟が必要だろうと思います。グリーフをこのような別次元にパラダイムシフトするには長い時間を要するのではと考えておりましたので。。。



Commented by 水たまり at 2017-06-04 11:02 x
「英国グリーフ・トラウマケア支援団体 CRUSEのこと」を読みました。東京の大手町でGCCを立ち上げ、先頭で私を含めて皆を、リードされてきた先生の目標が 日本版CRUSEを作り上げていくことではないだろうか、という思いが伝わってきました。
Commented by 鈴木剛子 at 2017-06-06 01:50 x
竜宮さんへ:アリアナ・グランデがマンチェスターで再公演というニュースに私も驚きました。先日の爆破事件で彼女自身が受けたショックの大きさを想像するにつけ、よくぞ決心した,あっぱれと思います。しかし犠牲者を「見舞う」「追悼する」という行動を取るとこによって、彼女の癒しがあるのかもしれませんね。一人じっと耐えるよりも。
それと周囲の英国人たちの所謂「不屈の精神」〜冷静沈着で、毅然としている態度〜が恐怖の連鎖をストップさせたということもありそうですね。その逆の態度こそがテロリストの思うつぼっていうこと、英国人はよく分かっているようです。
水たまりさんへ:CRUSE・ジャパンは夢のまた夢ですが、皆で力を合わせれば不可能なことではないかもしれませんね。
ぜひお力をとお知恵を貸して下さい!そんな話を近いうちにぜひしたいです。
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