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流産・死産体験者のグリーフ

f0101220_145332.jpg 『右写真、カナダの恩師、モーガン先生のメモリアル・マス(司式、デ−ケン神父、上智のチャペルにて,2005年、7月)


 今夜は上智大学で「流産・死産体験者のグリーフ」について講義をすることになっています。社会人講座「死ぬ意味・生きる意味」:終末期医療の可能性を考える というタイトルの一学期間のコース、一回ごとに講師が変わり、私はその一こまを担当させていただきます。
 ここひと月ほど、このテーマと取り組み、数名の体験者と助産師さんにインタビューをさせていただき、体験者のグリーフとそれを支える側の医療者の苦闘について、少しでも理解しようと努めて来ました。そして、今夜の講義では少しでも、インタビューに協力してくださった方々の代弁ができて、世の中の人々が、この種の苦しみについて理解を示してくれるように期待しています。
 ところで、今回、上智大学で講義の場を与えていただけたことは、私にとって大変感慨深いことなのです。私が16年前に夫を亡くし、にわかに死生学に興味を抱いたきっかけは、日本における死生学のパイオニア、アルフォンス・デ−ケン神父との出会いに他なりません。また、カナダの大学の死生学プログラムと、その総責任者だったジョン・モーガン先生をご紹介くださリ、留学の後押しをして下さったのは、他ならぬ当時、上智大学哲学科教授、デ−ケン神父でした。
 モーガン先生はカナダの恩師でしたが、私が日本へ帰国して半年後に、突然のご病気で亡くなられました。私はとるものもとりあえず、カナダへ飛び、モーガン先生の葬儀に参列し,同級生たちとその死を悼み、グリーフを共有しました。そして、日本でも私の他にモーガン先生を慕う同胞が数名おり、皆さんに声を掛け,デ−ケン神父にお願いをして、上智のチャペルで「モーガン先生・メモリアル・マス」を執り行って頂きました。
 上智大学とのご縁の深さを感じています。そして今夜は、大切な出会い、二人の恩師のことを思いつつ、また亡き夫にも思いを馳せて教壇に立つだろうと思います。16年前には死生学はおろか、グリーフについても何も知らなかった私を、ここまで導いてくれたのは彼だったのかと思います。
 
by yoshikos11 | 2010-06-29 14:44 | Comments(0)

IWG ラインランド (ホロコースト)

f0101220_12332617.jpg IWG ラインランドのブログ・シリーズ、最後のトッピクは、全体会セミナー「ホロコーストから60年、現代ドイツへのインパクト」です。最初に書いたと思いますが、緑豊かな美しい国ドイツ、世界屈指の音楽家を輩出したドイツ、そんなイメージの国の歴史に大きな汚点として残る史実がテーマになっていました。
 3人のドイツ人、そして一人のユダヤ人が発表しました。ドイツ人と言っても、ナチの弾圧に屈せず、ナチの非人間的な行為に反対し続けた祖先の話もあれあば、加害者の子孫として負い目を背負ってきたという話もあり、立場は色々で複雑であることが分ります。
 現代ドイツの学校教育では、ホロコーストの史実を日々学習で取り上げ、若い人たちに伝承していることを知りました。人間のダークな面を直視することも大切な教育なのでしょう。
 さて被害者側の唯一の発表者であったユダヤ人、サイモン・ルビン教授のホロコーストについての個人的な経験談は、参加者の全員の心をゆさぶりました。ルビン教授は、祖父母、叔父たちをポーランドでナチの兵士によって射殺されたことを証し、映画や本で伝えられた強制収容所での犠牲者ではないがと言いつつ、父の故郷、ポーランドのユダヤ人居住区(スタニスラボブ)は町ぐるみ抹消されてしまったと話しました。ユダヤ人墓地までも破壊されたとのことです。
 数年前に、ルビン教授は、父の兄弟姉妹で唯一生残った叔母さんに付き添て、かつての故郷,スタニスラボブを初めて訪れました。叔母さんは、イスラエルから持って行った土を、両親や兄弟が射殺された場所に撒き、地元のユダヤ教僧侶に祈りを捧げてもらいました。
 その後、一行は、かつてのユダヤ人墓地跡地を訪れますが、散策をしていたとき偶然、生い茂る草花の中に放り出されいた一つの石を見つけました。その石に近づき良く見るとそこに、ルビンという一家の名前が彫られていることを発見したのです。あたかも先祖に導かれ、60年ぶりで出逢ったかのようです。ルビン教授は、墓石発見の喜びと、同時に60年も投出されていたことに対する深い悲しみの両方を感じたそうです。
 先祖や墓を大切にする日本人として、特にこのエピソードは私の心を打ち、ホロコーストの傷跡は、(あえて語らない人が大半だそうですが)今も多数のユダヤ人の心に残っているのだろうと、ルビン教授の発表から察したのでした。

 
 
by yoshikos11 | 2010-06-06 14:18 | Comments(0)

IWG ラインランド(緑や豊かな国ドイツで)(4)

f0101220_29328.jpg(写真、ホワイト・アスパラガス・印象派の画家の作品)ベジタリアンの私は、ドイツでは食事にソーセージとポテトばかり出て来るのかと、ちょっと心配して出掛けたところ、実は、この時期、ホワイト・アスパラガスが旬、何回か食べましたがとても美味しかったです。特に、ホランデース・ソース(溶かした熱いバターに白ワインを一滴一滴たらして撹拌したもの)をかけると最高です。それと、毎朝ホテルのブレックファストには数種類のチーズが並び、チーズに目のない私は感動。黒パンも色々な種類が並び、どれもいけます。ついつい食べ過ぎて困りました。
by yoshikos11 | 2010-06-03 02:23 | Comments(0)

IWG ラインランド(緑や豊かな国ドイツで)(3)

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(グループ討議の休憩時間にくつろぐニーメヤー先生と)
IWGの特徴は、テーマ別の「分化会」(グループ)への参加があります。会員は、提起されたテーマの中から関心のあるものを選んで、そのグループへ参画し、会期中、9回(一日2回、3時間)集まって討議するのです。
 たとえば、テーマの数例を紹介すると、「スピリチュアリティ」「複雑化したグリーフ」「インターネットとグリーフケア」「加齢と人生の知恵」「グリーフと言語」「死別と共同体の支え」「マス・デス」(mass death)などがあります。私は「複雑化したグリーフ」を選びました。
 このグループのリーダーは私のメンターであり、日本でもおなじみのロバート・ニーメヤー先生(大切なものを失ったあなたに:喪失を乗り越えるガイドの著者)です。ニーメヤー先生の卓越したリーダーシップのおかげで、ややもすると留まることなく拡散しそうな議論の場が、うまくまとまって、共同作業が功を奏しました。
 同グループには他にも、GCCでおなじみのトーマス・アティッグ先生、グリーフ・カウンセリングのガイドブックで有名な、テレーズ・ランドー先生、グリーフ理論(two track model )で知られる、サイモン・ルビン先生、他にも経験豊かな各国のセラピストたちがキラ星のごとく一同に会して、夢のような討議の集いとなりました。(私も一つ事例発表をしましたが、それ以外はもっぱら主たる論客数名の討議を聞いて、学びの機会としました)
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 (グループ討議を終えてコーヒーブレーク、後列左、トーマス.アティッグ先生)
by yoshikos11 | 2010-06-03 02:05 | Comments(0)