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レイプ被害者の写真展

 大藪順子さんはトラウマの後遺症に苦しみながら、新規一転、転職、引越を図り「つらい」過去から解放されようと試みます。しかし、悪夢は遠くへ逃げてもしつこくついてくるのですね。新天地でも、夜中に夢を見てパニック状態になり、必死でインターネットで支援を探し求めます。そこから彼女と同じような被害に遭った他の人たちと出逢うようになります。そうした出会いが彼女に癒しを与えます。
 そして遠大な計画を思いつきます。北米各地を訪れてレイプ被害者たちの写真を撮ることにしました。写真撮影の前に被害者たち(中には男性もいました)のつらい物語を聞かせてもらいます。この広い世の中には、想像を絶するようなヒドい虐待を受けた人がいるのですね。大藪さんには辛過ぎて支えきれないようなケースをありました。(例えば近親相姦の犠牲者、身内同士の殺人目撃など)
 数十人の人たちの写真を撮り終えて、彼女は展覧会を開きました。それが全米で話題となりテレビの取材を受けたり、上院議会の公聴会に呼ばれたり、まさに多くの犠牲者の代弁者として大活躍します。これまで「日陰者」扱いされていた人たちのストーリーが、写真展で人々の知るところとなりました。同じ苦しみでも、苦しんでいることを他者に知ってもらうことで、少しは和らぐと言います。
 またレイプについて皆の理解が少しでも深まれば、社会全体が性的暴力や虐待撲滅へ向けて動き始めるのではないでしょうか?彼女自身、当初からこのような反響を予測していなかったはずですが、「転んでもただでは起きない」一人の女性が社会を動かした素晴らしい話だと思います。
 
 
by yoshikos11 | 2010-07-26 01:36 | Comments(5)

STANDS : 立ち上がる選択(2)

 大藪順子さんの再生への道は、目を見張る思いがします。昨日、彼女の信仰が支えになったことを記しましたが、レイプなどという最悪の被害に遭遇し、絶望の淵に突き落とされた彼女が「立ち上がる選択」をしたきっかけは、たまたま開いた聖書の言葉だったそうです。それは旧約聖書エズラ記にある言葉で本書に引用されています。「立ち上がりなさい。これはあなたの仕事です。わたしはあなたを助けます。心を強くしてこれを行いなさい」と。
 そして彼女は自分の仕事が何であるか直ぐに察知します。「犯人が捕まったらできる限りのことをして,あの男が同じ犯罪を繰り返さないようにできるでけ長い間刑務所に送るのだ」その為に、彼女は前述の陳情書を裁判長に送ったのでした。
 また彼女はこのように言っています。「(犯人は)私が泣き寝入りする弱いアジア人だと思ったのかもしれないが、大きな間違いだとわからせてやろう」日本人として同性として彼女のプライドと勇気にエール。
 「そして同じような境遇に追いやられた人たちに、泣き寝入りする必要がないことを伝えたい」自己満足ではなく、他者のためにも仕事をする意志が見られます。このあたりが裁判長の心を動かしたのでしょう。不思議なことに、他者を支える行為は何よりも「自分を支える」ということがあります。
 もちろん、信仰だけでなく、彼女には自治体が薦めたカウンセリングがもう一つのサポートになりました。トラウマと一人で闘うことは例え信仰のある人でも容易ではないでしょう。そして良い友だちや仕事の同僚も味方になってくれたということもあります。

 もっと書きたいのですが、時間がなくなりました。つづきは今夜!
by yoshikos11 | 2010-07-24 11:27 | Comments(0)

STANDS : 立ち上がる選択(1)

 f0101220_15514110.jpgこの本の著者、大藪順子(おおやぶ・のぶこ)さんはスゴい人です。アメリカのシカゴでプォト・ジャーナリストとして働いていましたがあるとき自宅アパートで就寝中に、窓を壊して侵入して来た男にレイプされました。加害者はほどなく逮捕され容疑を認めたものの、米国ではレイプに対する刑は予想外に軽く、1~2年で出所することも珍しくないでそうです。そして同じ犯罪を繰り返すと言います。
 大藪さんはレイプの後遺症により、うつ症状やパニック障害に苦しみ、被害を受ける前の明るく、楽観的で、自信のあった自分がすっかり失われたことを嘆き、元の自分を返して欲しいと泣き叫びたい思いでした。いつ立直れるかも分らず、将来にも不安を抱くようになります。自分は何も悪くないのに、なぜこんな目に遭わねばならないのかと強い憤りさえ覚えました。
 公判の日が近づき、彼女は裁判長宛に手紙を書き直訴することにしたのです。手紙では、レイプが「人の尊厳を踏みにじり,人権を奪い取る」極めて卑劣な行為であることを強調、また被害者がどれだけ苦しみ、再起が如何にたいへんかを切々と訴えました。そして彼女の主訴は、そのような犯罪に対して「できるだけ長い刑をお願いしたい」「自分のような思いを他の女性がしなくてすむように」ということでした。
 彼女の弁護士は、当初から家宅侵入罪とレイプ合わせてせいぜい5年の刑が下れば良い方だろうと消極的でしたが、大方の予想に反して,この種の犯罪では米国史上最長の刑、20年が下ったのです。裁判長は大藪さんの手紙に強く心を動かされたと言います。感情に走らず主張することはきっぱり主張し、自己満足の為でなく全ての女性のためを思う彼女の素直な気持が滲み出た手紙でした。
 異国の地で独身のアジア人女性が、ここまでやれたことに私は感動を覚え、大藪さんに「あっぱれ!」とエールを送りたい気持でいっぱいでした。米国人女性でさえレイプの場合、泣き寝入りすることが多いと言われています。犯罪として成立しにくいこともあり、トラウマの障害で闘う気力を失うこともあるでしょう。では大藪さんを支えた力はなんだったのでしょうか?
 本書を読むと分りますが、恐らく彼女の信仰心、とくに危機に瀕して聖書から必要なときに適切な励ましと勇気を与えられていたと言うことがあります。牧師さんの娘として育ち、幼いときから聖書と馴染んでいたことで聖書は彼女の生活の一部になっていたようです。そして「信じるものの強さ」が彼女の言動の端々に感じられました。
 大藪さんのその後の活躍振りには目を見張るものがあるので、続きをまた別途書きます。
by yoshikos11 | 2010-07-23 16:04 | Comments(1)

恐竜展で泣かされた!

 今週末(17日&18日)はGCC認定グリーフ・カウンセラー向けフォローアップ・セミナーを実施します。私としては珍しく早目に教材を準備できたので、一昨日は幼稚園児(3歳半)の孫サービスで、森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ内)で開催されている「恐竜展」へ行ってきました。大分前から夏休みになったら連れて行く約束をしてしまったのです。男の子は小さいときから恐竜などが好きなんですね。本や塩ビ製の模型で馴染んでいるようです。
 実は、うっかり約束した私ですが、恐竜が好きという子どもの気持が一向に分りません。テディベアやスヌーピーなどはかわいいと思いますが、恐竜はお世辞にもかわいいとは言えない。むしろ気持が悪くてできればお付合いしたくないアニマルです。蛇、ワニ、トカゲ、カメレオン、ガマガエルなど皮膚がでこぼこでヌメッとして、目がギョロギョロした所謂、爬虫類系は本当に苦手で、恐竜はそのジャイアント版、孫との約束ながら正直気が重かったです。
 孫には事前に白状しました。「ほんとうはバーバ(私のこと)恐竜が怖いのよ。もしかしてキャアって言うかもしれない」と。そうしたら孫は「僕に任せておいて。怖いときは守ってあげるから」と頼もしいポーズをしました。
 さて、会場には実にリアルな(気持悪さ満点の)巨大な模型の数々が展示されており、照明は薄暗くしてありました。壁一面にジャングルの風景が映っていて、その中をノッしノッしとダイナソーが歩いています。孫の顔には緊張感が漂い私の手をギュッと握っています。その瞬間、突如耳を突くような強烈なサウンドが鳴り響きました。映像、音響効果抜群です。彼は咄嗟に手で耳をふさいだかと思うと目には既に涙がポロポロ。「早くここから出して!もう帰りたい!」と泣き出しました。
 ということで、張り切って行った孫でしたが会場には10分もいたでしょうか。私たちは早々に恐竜展を後にしました。逃げ出して誰よりホッとしたのは他ならぬ私でした。3歳児には刺激が強過ぎたようです。恐らく小学生の男の子たちだったら、スリル満点で夏休みに格好のエンタテイメントになること受け合いでしょう。本当に良くで来ている,出来過ぎて怖いのかもしれません。

 
 
by yoshikos11 | 2010-07-16 17:04 | Comments(0)

パク・ヨンハの死

f0101220_224341.jpg韓流スター、パク・ヨンハの自殺は日本のマスコミで大きく取り上げられました。先日そのニュースについて私よりは遥かに情報通のMさんと話していて、彼が日本で一大人気スターだったことを初めて知りました。そもそも私は、韓流映画のブームが巻き起こった頃、カナダに在住していたので、この社会現象でさえかなり後になってからようやく知り「フユソナ」を見たのは一年前くらいだったでしょうか。
 ヨンさまといいパク・ヨンハといい日本のファンが60代,70代のおばさまたちというのも不思議な現象だなと前から思っていましたが、その分析は別にして、今回、パク・ヨンハの自殺の原因とその現象とは何か関係があるのでしょうか。若いスターにとって自分の母親かそれより年上の女性たちにモテるというのは一体どんな気持なのでしょう。できれば若い女性ファンがもっといたならと思わないのか、或いは日本より自国で同等の人気をハクしたいと思わなかったのか(彼は日本での方が圧倒的に売れていたそうですが)もしそうだったとしたら変則的なギャップに苦しんだのでしょうか。
 しかし、人は一つだけの理由で自殺をしないと言います。ある韓国ジャーナリストがヨンハの自殺の原因について「韓国でも『個人主義』の浸透とともに『家族主義』が衰退し始め、今はその過度期で二つの異なる主義の間で葛藤する人が増えている。親孝行であった息子としての立場と自分を最大限に自己主張するスターとしての立場、相容れない二つの立場の狭間でストレス過剰になって息詰ったのでは」と言っていました。
 また、彼が優し過ぎて、真面目過ぎたのが原因と言う人もいます。芸能界のみならず、悲しいことながら今の世はそうした「良い人」が生きにくい時代のように思えます。
 最後に、彼の父親が末期ガンで予後不可能であると分っていたそうですが、親孝行な息子ゆえに彼は、父の命を救えないことに不甲斐なさ、無念さ、絶望感、そして自責感まで持ったのではないでしょうか。ホスピスケアでは患者だけでなく家族のケアも必要と考えますが、もしヨンハが心のサポートを得られたなら違っていたのではないかと思わずにはいられません。

私のサイトもよろしく:http://www/gcctokyo.com

 
by yoshikos11 | 2010-07-11 03:24 | Comments(1)

バースデー

 f0101220_273655.jpg7月2日は亡き夫のバースデーです。 ここ3年ほど、彼のバースデーには家族が集って会食をすることにしています。今年は、同じく7月2日がバースデーである姪と彼女の一家にも参加してもらい、にぎやかに過ごしました。実は愛犬ボンゾーもこの日がバースデーなので、彼も祝ってもらえてハイになっていました。ボンゾーは人の言葉が分るのです。
 故人の命日だけでなく、誕生日も遺された者にとっては生涯特別な日であり続けると思っています。f0101220_2203766.jpg少なくとも私にとっては!「死んだ子の年を数える」と良く言いますが、お子さんを亡くされた親御さんにとってはきっとそうでしょう。
by yoshikos11 | 2010-07-04 02:42 | Comments(0)

上智大学での講義

f0101220_124091.jpg 先のブログで書いたように一昨日、「流産・死産体験者のグリーフと医療者の苦闘」というテーマで、上智大学社会人講座で講義をしました。規定の90分授業に納まりきれず、だいぶ時間オーバーになってしまいましたが、100名にも昇る聴講生は、最後まで熱心に聞いて下さいました。不思議なのですが、講師は、聞いて下さる方々が熱心であればあるほど、熱も入るし乗せられるということがあります。
 流産、死産に伴うグリーフは、人知れず悲しむ、周囲に理解されないという大きなハンディがあります。体験者は異口同音に「孤独感」に苛まれ、ひとり痛みに耐えると言われます。なぜでしょうか?それはこれまで医療の現場でも胎児(もっと初期は胎芽というそうです)を「人」と見なさないことから、その死を、人の死として認識して来なかったということがあります。
 しかしながら、お母さんにとっては妊娠の初期から胎児は「私の子ども」「赤ちゃん」なのですね。どの時点で失っても深い悲しみを経験します。医療者だけでなく周囲の人たちもお母さんの喪失やそれに伴うグリーフを認めない、過小評価する傾向です。「子どもを亡くしたわけじゃないのに、なぜ悲しむの?」とか「まだ若いんだから、また作ればいいじゃない?」などと言われ傷つきます。
 さらにお父さんも、実はグリーフを抱えるはずなのですが、男性は心身ともに弱っている奥さんを守り、支える側にまわるため、自分のグリーフを押さえてしまうと言われます。「しっかりしなければ」と頑張るため、表面上は悲しんでいる様子が見受けられません。その結果、奥さんから「あなたは悲しくないの!」と批判されてしまうこともあります。
 そんなわけで、流産、死産の体験後、カップルのグリーフは相容れないことが多く、夫婦の関係に不協和音が生じるなど良く聞く話です。
 上智の講義のあと、聴講生(男性)から「女性と男性のグリーフの違い、これまで思っても見なかったけれど、そう言われると分る気がする」とコメントがありました。ちなみに今回の講座では男性の参加者が半数近くおられました。
 現在は、助産士さんを中心に、産科病棟では流産、死産後の「サポート・グループ」なども開催されており、また、以前とは違って、この種のグリーフに対する医療者の理解はぐっと深まったようです。元気で生まれても、誕生と同時に命が絶えても、医療者の方々は「赤ちゃん、がんばって生まれて来たよ」「かわいいよ」などと声をかけて下さるようです。
 講座を通して皆さんが「人知れぬグリーフ(苦しみ)」があることを知って下さり、良き支え手になってくだされば有り難いと思っています。
私のサイトも宜しく:http://www.gcctokyo.com
 
by yoshikos11 | 2010-07-01 12:47 | Comments(0)