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自死遺族のケア

 今日は、NPOグリーフケア・サポートプラザの勉強会で講師を務めさせていただきました。自死にともなうグリーフが特殊な困難性を伴うということは、多くの学者が認めているところです。先日もこのブログで「社会的偏見」については記したとおりですが、外だけでなく家庭内においても話にくいということがあります。(命日にさえ故人のことを一切、話題にしないと言った方があります)
 そうした幾多の困難性を克服するために、今日の私の話しが少しでもお役に立てればいいのだがと言う一心で2時間半、話させて頂きました。皆さん驚くほど熱心に聞いて下さり、感動しました。ある方が最後に「先生の話しを聞いて、少し希望が持てました」と言って下さったことで私もほっとしました。
 自死にともなうグリーフについて、認知的に理解していただくことはとても大切だと思っています。しかし、認知面に訴えようとすると、どうしても話しがドライになりがちで、人によってはストレート過ぎてキツいと感じることもあるかもしれません。もしそう感じた方がいらっしゃったら、ご寛恕願いたいのですが。
 けれど、知識は身を助けると言います。長い目で「あのときは、キツいと思ったけれど、はっきり教えてもらって良かった」という日が来ることを切に願います。一人の方が終了後「先生が言われた事全てが思い当たり、納得しました」と言って下さり、ああ良かったと思いました。この方のように素直に学ぼうとされる方は、きっと良い方向へ歩んで下さることだろうと感じましたし、また心からそう祈ります。

 春の訪れを感じる今日この頃、皆さんとご一緒に「おぼろ月夜」を歌いました。今日お会いした方々お一人ひとりに本当の春が訪れる日を願いながら、歌った夕べでした。

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by yoshikos11 | 2011-02-27 01:36 | Comments(0)

インフルエンザお見舞い!

f0101220_12454786.jpg昨日は強風に見舞われ、ビルの谷間を歩くと吹き飛ばされそうでしたね。さてこの冬はインフルエンザが猛威をふるい、我が家でも数名がダウンしました。私はニアミスを経験しながらも今の所、発病していませんが、罹る罹らないは紙一重のような気がします。
 幼い子どもがいる家庭でお母さんがダウンすると本当にたいへんですね。家事育児ができないばかりか、子どもに移らないようにするには、お母さんが部屋に閉じこもるとか、中にはホテルに避難する方もあると聞きました。インフルエンザでは入院させてもらえないのかもしれません。手代わりのあるご家庭は何とか乗り越えられるとしても、ない場合は本当にたいへんと人ごとには思えません。
 前兆は咳、ただの風邪かと思って油断していると、突如、高熱を発し苦しくて苦しくて「死ぬかと思った」という声も聞いています。今、罹病している方、くれぐれも大事にして一日も早い回復を願うばかりです。
 それにしても春が待たれるこのごろです。昨日の強風、午前中は日も当たっていたせいか、風の中に少しばかり春の訪れを感じました。幼少時代、市ヶ谷に住んでいましたが、高台から眼下のお堀を眺め、春風が昇ってくるのを肌で感じ、以来、私の「春のめやす」はあの風の感覚です。不思議ですね。60年も昔の感覚がずっと残っているというのも。

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by yoshikos11 | 2011-02-19 13:08 | Comments(0)

『星の息子』:サバイバー・ギルト (続き)

 主人公、達彦は生みの親に『自分は棄てられた』と感じ、憤りと深い悲しみの両方を感じます。もちろん、母親は精神病で入院を余儀なくされたので、わざと息子を棄てたわけではないけれど、真実を告げられた瞬間、衝撃とトラウマで冷静な思考はできません。
 育ての親には大切にされ、愛情をかけられ、それまで平穏無事に暮らしていたのが、『なんだ、皆自分を騙していたんだ』と大人に裏切られたという気持もあったでしょう。自分の世界が足下からガラガラと崩れる感じかも知れません。もう何を信じて良いか分らないというような。
 こうした筋書きは、様々な小説やコミックなんかにも見られるし、私の周囲にも幼い子どもを置いて結婚を解消したという話しはあります。やはり子どもは親に棄てられたと思い、親を恨むということがあったようです。実際、親は死ぬ間際まで、理由はどうあれ置き去りにした子どものことを一日として忘れられなかった。。。という悲劇は小説ならずとも聞いています。
 実の母親を恨み、怒りを覚えて生きて行くことはあまりにも苦しいので、主人公の達彦はどこかで親の存在を抹消し、暗い過去を棄てることにしたのでしょう。そして表面的というか形として『幸福な生活』を築いたつもりが、実の親の自死を知らされ、全てがイルージョンだったことに気付く。本当の自分を否定し、押さえ、生き続けることにはムリがあった。
 そしてサバイバーギルトが浮上。しかし誰がこの主人公を非難できるでしょうか?こうしなければ生き続けられなかったでしょうから。ここではむしろ、サバイバー・ギルトを大事にして、それを断絶した過去と現在を繋げるブリッジにすることが必要か、そんな風に思いました。

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by yoshikos11 | 2011-02-13 15:04 | Comments(0)

『星の息子:サバイーバー・ギルト』

 最愛の人を亡くし自分を責める、たとえば「もっとやさしくしてあげるべきだった」「セカンドオピニオンを求めるべきだった」などと言って、あたかも自分のせいでその人が死んでしまったかのようにかこつことは一般的なグリーフの傾向です。サバイーバー(遺されたもの)のギルト(罪責感)とは、このようにさほど深刻でないものから、もっと根深いものまであるわけです。
 藤村邦 (ふじむら・くに)著の『星の息子‥サバイーバ―・ギルト』は同じギルトでもたいへん重いケースを扱っています。私生児として生まれた主人公、達彦は、父親不明、母親までもが精神病で入院し、篤志家の夫妻に育てられるのですが、中学生になるまで真実を知らさませんでした。
 地方の村ですから、母親が精神病院に入院していることを噂するものもいて、本人はそうした噂が理由で学友にでいじめられたりもします。だから薄々何かを感じていたということはありました。始めて本当のことを育ての親から告げられたとき、達彦の疑惑はまぎれもない事実となり、そのショックは想像に絶するものがありました。
 一度だけ母親を病院に訪ねるのですが、自分を見捨てた親に対して決して良い印象はなく、一刻も早く立ち去りたい気持と、母親の存在を忘れようという断固たる決意がありました。以来、故郷を去って東京で幸せな生活をすることが夢となり、大学生活、一流企業へ就職、大学教授の娘との結婚、一男一女に恵まれるという、一見、夢を実現したかに見えました。
 しかし、妻にまで過去を隠し続け、二度と母親を訪れることもなく、その存在すら否定し続けて来たことのつけが回って来たのです。ある日母が病院の敷地内で自死しました。そして病院の社会福祉士から「お母さんは、息子さんに会いたいと最後まで言い続けていた」と言われ、罪責感に襲われます。しかしもう取り返しがつきません。
 藤村邦は、ペンネームで著者は精神科医で家族療法家です。長年の臨床経験から得たことを、小説という形で書き下ろした第一作だそうですが、話しの展開、心理描写、筆致など玄人はだしで、興味深くイッキに読める作品です。主人公がこれだけ多くの負の要素を抱えて、何としてでも幸せに生きようとしたけなげさに、熱いものを感じました。

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by yoshikos11 | 2011-02-13 03:29 | Comments(0)