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映画『楽園からの旅人』(初夏の思い出小休止)

 このところ、5,6、7月、初夏の思い出を少しずつ記していますが、その間も、新たな話題が次々に溜まっていきそうです。そこで「初夏の思い出」はちょっと脇において、、昨日鑑賞した映画のことを書きます。

 イタリアの巨匠、エルマンノ・オルミ監督の『楽園からの旅人』について。神保町・岩波ホールで開催中です。四大紙にも映画評が掲載されている注目の作品。

 背景を簡単に紹介すると、基督教の本拠地、イタリアで教会離れが進みつつある今、ある町で古い教会の取り壊し作業が始まります。その間、アフリカからの難民たちがシェルタを求めて、十字架も聖像も撤去されたガラーンとした教会内へやって来て、2〜3日寝泊まりします。
 彼らは不法入国者なので、当局に追われる身、一方、教会没滅の危機に瀕し、悲嘆にくれる本教会の老司祭は、予期せぬ訪問者たちを、かくまうばかりでなく、追手から守ろうとして、果敢に闘います。

 追手の生活保護委員に対して、老司祭は『教会は、信じるもの、信じないもの、肌の白いもの、黒いもの、誰でも分け隔てなく、やって来る者は全て迎えるのです』と言い、『司祭さん、貴方もかくまたった罪で、法の処罰を受けることになる』と、脅す相手に一歩も譲りません。
 『この世で最も弱いものたちに対して、しかも聖堂内で(壊れたとはいえ?)銃を突きつける貴方は悔い改めるべきです』と返す老司祭に、追手たちはついに退散します。

 色々小エピソードはありますが、筋書きはいたって単純、セリフもミニマム。しかし、随所に現代の主要テーマが盛り込まれていて、見る人それぞれに考えさせられる作品だと思いました。
 聖書に精通した人なら、「ああ、あれは何章何節のイエスの教えだ」と思い当たるかもしれませんが、この作品、一宗教の枠を遥かに越えて、人類普遍のテーマ、社会正義、倫理観、広い意味での信仰について、訴えるものがあります。

 オルミは、なぜ「教会離れ」が起こったのか、宗教離れが進んだのか、ということを辛口の演出で示しつつ、それなら、離れた現代人はどこへ行くのか〜という問いを投げかけているようです。旅人は難民のアフリカ人だけではなく、私たち全てなんだと、言いたいのでしょうか?

 映像的には、電気を切られた聖堂内の描写なので、キャンドルの光だけが頼りですが、そこにアフリカ人の赤ちゃんが誕生し、抱きかかえる母親を仲間が覗きこんでいるシーンなど、光と影を利用して、まるでレンブラントの聖画を見るような美しさでした。
 
 最後に、グリーフ研究の視点から、老司祭の心境に多いに関心があります。老境に達した彼にとって、長いこと奉仕して来た教会を失うことは、一大喪失であり、グリーフの極みです。しかし、そこへ救いを求める難民らがやって来て、彼には新たな役割と使命が急浮上した。誰かに必要とされることで、老司祭はイキイキと生気を取り戻した様子でした。
 『誰かを支えることによってのみ、人間は真の人間になれる』と言ったアルベルト・シュワイツァーの言葉を思い出します。

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by yoshikos11 | 2013-09-01 12:44 | Comments(0)

カナダ・ビクトリア島で国際会議(2)

f0101220_1018395.jpg(写真・世界12カ国の代表、総勢13名のグループ集合)『トラウマ的死別とそのケア』について討議するグループへ参加しました。メンバーの国籍は、イスラエル、英国、オーストラリア、カナダギリシャ、ジンバブエ、ドイツ、日本、ニュージーランド、ブラジル、米国、中国(香港)であり、なんと12カ国に及び、まさに国際学会にふさわしい研究会となりました。

 各国を代表する蒼々たる死生学・グリーフ学の研究者たち、また、グリーフ・セラピスト、カウンセラーとして臨床経験も豊富。活動する国こそ異なっても、それぞれが臨床上の「問題」「豊富」、支援者としての「悩み」などを真摯に語るとき、国や文化を乗り越えて、互いに共鳴するところが多々ありました。

 5日間、通算、15時間にわたり、互いに知恵を出し合い、アドバイスしあえたことは、他では得難い貴重な経験となりました。IWGならではのプログラム、毎回思うのですが、「来て良かった」と!ここで励ましと勇気をもらい、また次回の大会まで、クライエントさんのグリーフ&トラウマに寄り添っていきたいと思いました。

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by yoshikos11 | 2013-09-01 10:51 | Comments(0)