聖路加緩和ケア病棟訪問

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 今日は、ベグライテンの「ホスピス訪問」企画に参加して、聖路加国際病院の緩和ケア病棟を訪れました。ここ2~3回、ホスピスのことについて書きましたが、日本の現状について知る良い機会と思ったのです。また、もう一つの理由は私自身のグリーフのスタート地点が、聖路加だということがあって
特別思い入れのある場所でもあります。

 夫は、この病院で15年前に亡くなりました。当時は、まだ、緩和ケア病棟はありませんでしたが、病院付きの二人のチャプレンは病棟にも廻って来られ、夫と私は、ひとかたならぬお世話になりました。精神的に支えていだだき、もし、チャプレンがいらしゃらなかったら、あのつらい時期をどう乗り越えたか、想像もつきません。今でも思い出しては、感謝の気持ちでいっぱいです。

 ベグライテンの仲間たちは、チャペルに集合し、チャプレン(以前の方とは代が替わりましたが)のお話を伺い、その後、10階にある緩和ケア病棟を見学させていただきました。と言っても、空き室の一つを見て、広めのリビングルーム(患者さんや家族が談話する御部屋)を覗いただけでした。残念ながら、医療関係者のお話を伺うことはできませんでした。
 病棟の印象は、勝手に想像していた家庭的な雰囲気は、あまり感じられず、下の階の一般病棟とさして違いはなかったです。特に、リビングルームなどには、美しいカーペットとか、明るい色のカーテンとか、ふかふかのソファーなどがあったら、患者さんやご家族の心が和むのではないかなと、思いました。そんなに経費がかかるとも思えないのですが、ケア上、衛生上、そうできないのでしょうか? 部屋の隅にあったピアノまでが、なぜか冷たい感じに見えたのです。

 その後、6階にあるルーフ.ガーデンに案内されました。この場所、15年振りに訪れました。思えば、夫が入院中、どうしても外の空気が吸いたいと言うので、看護士さんの力を借りて、可動式ベットに移動してもらい、このガーデンに連れて出たのです。ガンの末期でかなり衰弱していましたので、病室からここへ出るだけでも、風邪を引かせるのではないか、疲れないか、そんなことを心配したことを思い出しました。11月の初めだったので、外の空気もひんやりしていた記憶です。
 ところが、あんなに外へ出たがっていたのに、夫は特にうれしい、という表情もなく、言葉もなく、直に病室へ戻りたいと言いました。ただ、彼の勤務先が聖路加から近かったので、そちらの方向を、何となく感慨深気に眺めていた姿が目に焼き付いています。現役で病に倒れましたので、仕事への心残りは強かったと思います。その場を直ぐに立ち去りたいと思ったのも、職場や、その界わいの町並みや、活気ある下町風景を思い出すと、後ろ髪を引かれそうな、つらい気持ちになったのかもしれません。
 不思議なことに、15年経った今頃、夫のその時の気持ちが少しは察せられるようになったのですね。当時の私には、そんな心の余裕もなく、ただ、彼の病状に一喜一憂していたのでしょう。死と向き合う人の心に寄り添う、ホスピス・ケアの目指すところですが、家族ですら(家族だからとも言えます)、それがいかに難しいか、改めて思いました。

 今日は、私のそんな特別な思いを、参加者の一人、若い療法音楽士のNさんが側にいて、聞いて下さいました。「患者さんは、勝手にこっちが喜ぶんじゃないかと想像したことも、別に喜べないことがありますね」とNさん。彼女は、ニューヨークの有名なホスピスでボランティアとして、働いた経験があるそうです。この分野、際限なく学ぶ事がありそうです。

 
 
by yoshikos11 | 2009-10-04 02:17 | Comments(0)
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