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流産・死産とグリーフ

 流産・死産とグリーフ_f0101220_2323853.jpg 3月28日、日曜日、朝からどんよりとした曇り空、真冬のような寒さでした。その日は「流産,死産、グリーフケアを考える」というタイトルの講演会が慶応大学三田キャンパスであり参加しました。主催は「ポコズママの会」という死産,流産経験者の方々の支援団体ですが、この会の世話役の方々と、会の相談役、竹ノ上先生(慶応義塾大学看護医療学部教授)は、昨年、GCCの講座へご参加下さりそれがご縁で私も皆さんの活動に興味を持つようになりました。
 会場には、70名もの参加者が一同に会し(経験者と医療者を含めて)中にはカップルで来ている方も数組あり、皆さん熱心に聴講していました。同じ苦しみを体験した方々の間には、自ずと互いに思いやる気持ちや、静かな連帯感があるように感じました。皆さんホッとする場所でもあるのでしょう。
 なぜなら、世間一般は、生誕を待たずして亡くなった命について、母親が、そして父親もどんなにつらい思いをしているかなど理解していないからです。苦しんでいることすら、誰も気に留めてくれないとしたらどうでしょうか。その意味でも、竹ノ上先生がカップル対象に支援を考えると言われたことは、たいへん有益なことと思いました。せめても、夫婦が互いに思いやり、労り合い、支え合えたら、苦しみの中に、一抹の救いを感じられる気がします。
 講演者の一人は、初めてのお子さんを臨月で死産されたIさんでした。会場は水を打ったようにシーンと静まり返り、皆,Iさんの話に聞き入っていました。涙を拭っている人、うつむいてじっとこらえている人、会場全体がIさんの思いに寄り添っていたと思います。この世で、これほどまでに理不尽で不条理な喪失があるでしょうか。
 その後で、Iさんの主治医で産科医の竹内正人先生が話されましたが、先生はあたかも数年前のIさんの出産、その時、その瞬間、その場を追体験されているかのようでした。そして「私たち医療者もつらいのです」と実感を込めて一言。本当にそうだろうと想像しました。竹内先生の言葉が強く心に焼きついたまま、私は会場を後にしました。
 ギリシャ悲劇では、苦しむ人は聖なる存在、皆が畏敬と尊敬を持って崇めると言います。そんなことを思い出しました。

私のサイトもよろしく:http;//www.gcctokyo,com
 
 

 

 
 
by yoshikos11 | 2010-03-31 01:31
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