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IWG ラインランド (ホロコースト)

IWG ラインランド (ホロコースト)_f0101220_12332617.jpg IWG ラインランドのブログ・シリーズ、最後のトッピクは、全体会セミナー「ホロコーストから60年、現代ドイツへのインパクト」です。最初に書いたと思いますが、緑豊かな美しい国ドイツ、世界屈指の音楽家を輩出したドイツ、そんなイメージの国の歴史に大きな汚点として残る史実がテーマになっていました。
 3人のドイツ人、そして一人のユダヤ人が発表しました。ドイツ人と言っても、ナチの弾圧に屈せず、ナチの非人間的な行為に反対し続けた祖先の話もあれあば、加害者の子孫として負い目を背負ってきたという話もあり、立場は色々で複雑であることが分ります。
 現代ドイツの学校教育では、ホロコーストの史実を日々学習で取り上げ、若い人たちに伝承していることを知りました。人間のダークな面を直視することも大切な教育なのでしょう。
 さて被害者側の唯一の発表者であったユダヤ人、サイモン・ルビン教授のホロコーストについての個人的な経験談は、参加者の全員の心をゆさぶりました。ルビン教授は、祖父母、叔父たちをポーランドでナチの兵士によって射殺されたことを証し、映画や本で伝えられた強制収容所での犠牲者ではないがと言いつつ、父の故郷、ポーランドのユダヤ人居住区(スタニスラボブ)は町ぐるみ抹消されてしまったと話しました。ユダヤ人墓地までも破壊されたとのことです。
 数年前に、ルビン教授は、父の兄弟姉妹で唯一生残った叔母さんに付き添て、かつての故郷,スタニスラボブを初めて訪れました。叔母さんは、イスラエルから持って行った土を、両親や兄弟が射殺された場所に撒き、地元のユダヤ教僧侶に祈りを捧げてもらいました。
 その後、一行は、かつてのユダヤ人墓地跡地を訪れますが、散策をしていたとき偶然、生い茂る草花の中に放り出されいた一つの石を見つけました。その石に近づき良く見るとそこに、ルビンという一家の名前が彫られていることを発見したのです。あたかも先祖に導かれ、60年ぶりで出逢ったかのようです。ルビン教授は、墓石発見の喜びと、同時に60年も投出されていたことに対する深い悲しみの両方を感じたそうです。
 先祖や墓を大切にする日本人として、特にこのエピソードは私の心を打ち、ホロコーストの傷跡は、(あえて語らない人が大半だそうですが)今も多数のユダヤ人の心に残っているのだろうと、ルビン教授の発表から察したのでした。

 
 
by yoshikos11 | 2010-06-06 14:18
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