映画『ラビットホール』

 ニコル・キッドマン主演・製作による、子どもを亡くした夫婦のグリーフ物語『ラビットホール』をやっと鑑賞してきました。(秋学期は忙しくて、時間とのせめぎ合いしています!)グリーフがテーマということで、配給会社の方から「ぜひ、宣伝してください」と言われ、GCC受講生たちにも推薦した映画でした。皆さんに薦めたからには、自分も見ておかなければ申し訳ない話しです。
 グリーフ関連では、ここ2~3年、マイク・バインダー監督の『再会の街角で』やスサンネ・ピア監督の『悲しみが乾くまで』などの作品がありました。いずれも、グリーフのダイナミックスをうまくとらまえ、表現していました。その意味で教育的価値がありました。ストーリーの展開としては、『再会の街角』がおもしろく、飽きさせませんでした。
 しかし、この手の映画の難しさは、教育的意図があまり見え見えだと、「いかにも」という感じがして、観衆が興ざめしてしまう点ですね。そこは製作者の腕の見せ所でしょう。
 さて、『ラビットホール』は、そうした不自然さをあまり感じさせず、抵抗なく映画の世界に誘われます。主人公母親の気持が、時間の経過とともに、微妙に変化して行くさまに、なんとなく寄り添って見てしまいます。母親役のキッドマンの演技が、それだけ真に迫っていたということでしょうか?
 また、母親と父親とでは、グリーフのスタイルが違うことから、そのギャップが夫婦関係の危機を招くとは良く言われますが、その表現もうまい。
 見所としては、息子を事故死させた加害者の青年を、被害者の母親が「赦す」ことにより、グリーフから少しずつ解放されるということ。また、その青年のSF的、宇宙的想像力に彼女が興味を示し、そうしたスピリチュアリズムによって、自分の苦しみを緩和させること、などです。稚拙な宗教的説得には、怒りをあらわにする彼女ですが、柔軟な若者の空想の世界に、心の癒しを見出します。
 (欲を言えば、「赦す」に至った心の模様、もう少し説得性が必要?)
 子どもを亡くした親のグリーフについて(永遠といいますが)理解を深めたい人には,必見の映画といえます。ただし、実際にお子さんを亡くされた親御さんがご覧になったら、どこまで共感できるのか、私は謙虚に、想像するしかありません。
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by yoshikos11 | 2011-11-14 01:48 | Comments(0)
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