この2ヶ月、沈黙してしまいました。この間、グリーフに関係することで話したいことが山ほどあったのですが。海外本の翻訳に日夜追われておりました。(この本—斬新なグリーフの教科書とも言うべき秀作ーについてはまたゆっくりご紹介したいです)。
昨日、7月2日は亡き夫昌平の誕生日でした。この11月で亡くなってから12年になりますが、生きていれば72歳。戌年です。(でした? 現在形?過去形?いつも迷うところ) そこで、夕べは今は別々に暮らしている娘たちの一家に集まってもらい、孫たちも含めて総勢7名(プラス偶然7月2日が誕生日の犬のボンゾーも参加)でカジュアルなカフェで会食をしました。 カナダに単身留学中は、クラスメートのクリスーご主人を亡くして落ち込んでいたーと一緒に互いの亡夫の誕生日には、必ずどこかで一緒に食事をして祝い合ったものです。 グリーフには、記念日シンドロムというのがあり、最愛の人の命日、誕生日、結婚記念日、などには、「ビタースイート」(懐かしさと痛みが入り交じった)気持がふつふつとわき起ると言われます。私にとっては、もう12年も経っているので「イタい!」と叫びたくなるような感じは、確かに見当たりません。懐かしさ?ありますね。しかし、まだグリーフが新しい方々ーお身内を亡くされて1−3年の方々ーにとっては記念日はつらいと思います。幸い、仏教を初め、多くの宗教は命日に、故人を偲ぶ正式な行事を薦めていますし、家族、親戚、友人が集って会食などもあり、にぎやかさの中でグリーフのつらさも多少まぎれることでしょう。 でも、誕生日などその他の記念日には、自分で何か手を打たないと「独りっぽっち」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? そして、例のシンドローム。何となく、寂しい、侘しい気持になってしまいます。そこでお薦めは、そうならないように、ご家族のどなたか、または理解あるお友達(特にグリーフ・サポート・グループのお友達ならきっと分ってくれるでしょう)を誘い出して、コーヒーショップ、レストラン、バーなどお気に入りの所で、亡き人のことについておしゃべりをする、そしてその特別な日をお祝いするようにしたらいかがでしょうか? 思い出の場所だったら一層お話も弾み気分が盛り上がるかもしれません。(勿論、少々の涙は許されるコーナーに座って!) 私の中学・高校の同級生で、今年の初めにご主人を亡くされた方があります。彼女とはよくメールの交換をします。7月1日、彼女宛のメールに私は、2日が夫昌平のバースデーであり家族が集まる予定という話をし、「貴方のご主人のバースデーはいつ? もしその日にお一人なら喜んでお食事でもお付き合いしますよ」と書きました。そうしたら、まあなんと偶然にもその日、7月1日は彼女のご主人のバースデーだったのです! 折り返し彼女からメールが来てそのことを知り、互いに話題の偶然性と、亡き夫たちのバースデーが接近していることにびっくりしました。彼女は、妹さんたちのご提案で、息子さんのご一家も一緒に、最愛のご主人を偲んでホテルで会食をしてきたばかりと言うことでした。 最愛の人が亡くなった日。それは生涯忘れられない衝撃的なつらい思い出。その痛手と傷は永遠かと思います。しかし、よく考えてみると痛手と傷の深さはその人が自分にとってどんなに「かけがえのない」人だったか、その証拠のようなもの。そんな「かけがえのない」人がこの世に「生まれた」日、それは遺された者にとっていつまでも大切な日であり続けるはずです。あの人が亡くなっても「誕生日」までもが消えるわけではないでしょう? おかげさまで私は、家族と共に夫の誕生日を祝うことができて、夕べはホノボノとした気持でおりました。
by yoshikos11
| 2006-07-03 13:31
| グリーフ
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