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グリーフ、負のエネルギー

 最近、ある方とグリーフの「負のエネルギー」についてお話をしました。その方は、お兄様を亡くされて、そのグリーフをコラージュに表現されました。お兄様との死別後、約一年あまり、来る日も来る日も、ひたすらコラージを制作されたそうです。

 全部で380点あるというコラージュの膨大なコレクション、私は、その感動の作品の一部を拝見する栄によくしました。作品の全てに作者の精魂が込められて、そこには日々移り変わるグリーフが、アートというメディアを通して、美しくも、悲しくも表現されているのです。

 作品のあまりの美しさにうっとりと見とれて感動しました。そして、考えられない点数と、それに費やされた気の遠くなるような時間を思うとき、グリーフの「負のエネルギー」の大きさに圧倒される思いでした。それだけ、この方のグリーフが強いということも言えるのかと思います。
 しかし、「負のエネルギー」が表現することで外に放出され「正のエネルギー」に変化し、その方の場合には、グリーフが浄化することになったのですね。もし、それが内に込められて、押さえつけられたとしたら、どうなったことでしょうか?

 グリーフの複雑化とか、病気化とかいう現象がありますが、まさに、この「負のエネルギー」が押さえつけられ、行き場がなくて、長い間に、心や体に悪さをする結果だと思います。

 このテーマをブログに書こうと思っていたところ、また、別の方から事例2に繋がるご連絡を受けました。皆さんも多分ご存知の「世田谷事件」。その犠牲者のお身内である、入江杏さんが、ご自身の喪失体験を綴られた著書が出版になったというお知らせがご本人から届きました。

 題名は、「喪失が教えてくれたこと」(春秋社)です。恐らく、思い出すのもつらく、苦しく、語ることすらはばかられる犯罪事件の体験を、勇気を出して書かれた入江さんを多いに賞賛したいです。
 一方で、なぜ彼女にそれが出来たのか、そう考えると彼女の「負のエネルギー」を思わずにはいられません。そのグリーフが大きければ大きいだけ、エネルギーも比例するのかと想像します。

 喪失体験をして苦しむ多くの方々に、今日ブログに取り上げさせていただいたお二人は、勇気と希望を与えると信じています。

 
by yoshikos11 | 2007-12-06 11:42
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